皮膚科クリニックで仕事をしていると、水いぼ (伝染性軟属腫) で受診される方がいます。
多くは小さい子で、親が心配して連れてきています。
この記事では、
水いぼはそのままにするべきか
水いぼは取り除いてしまうべきか
について考えたいと思います。
結論としては、その人の状況によって変わってきます。
それでは、その状況に合わせて以下解説していきます。
水いぼを取ったほうがいい方
プールを習っている方は、水いぼはとってきて欲しいといわれる場合があります。
水いぼはインフルエンザのように飛沫感染しません。
直接触れることによって水いぼは感染します。
プールで遊んでいる間に直接触れていたり、ビート板やタオルから感染すると言われています。
そのため、水いぼはできるだけ取ってきてほしいが、ラッシュガードなどで隠していれば大丈夫というスイミングプールもあります。
健康な方であれば水いぼはそのままにしていても、半年〜1年半程度で改善することがわかっています。
しかし、水いぼは徐々に広がっていくことがあります。
広がっていてもそのまま自然治癒するまで待つという気持ちがあれば、それで良いと思います。
少量の水いぼであれば、痛みは伴いますがピンセットでつまんで摘除してしまえば、それで終了ということもあります。
そのため、医師によって見解が異なり、取った方が良いという考えや、そのまま自然治癒で良いという考えを持つ医師がいることになります。
水いぼを取るメリットとしては、日本小児皮膚科学会にも書いてありますが、他の人への感染源にならない、プールに入ることができる、見た目の問題が解決できるという点です。
アメリカ皮膚科学会 (AAD:American Academy of Dermatology)は水いぼはそのまま自然治癒させることを勧めていますが、水いぼを取ることが推奨される方も明記しています。
・A chronic skin condition, such as eczema (湿疹などの慢性皮膚疾患を持つ方)
・Molluscum in the genital area (性器周辺にできる水いぼ)
・A weakened immune system and numerous bumps (免疫力が低下し、多数の水いぼがある方)
・Extremely bothersome molluscum (極めて煩わしい水いぼ)
AADのHP Molluscum contagiosum: Diagnosis and Treatmentより
以上より水いぼを取ったほうがいい方は、
スイミングプールで取ってきてほしいと言われた方や、
アメリカ皮膚科学会にも記載があるように感染しやすい疾患がある方、治りづらい方と言えるでしょう。
水いぼを取らなくてもよい方
先ほどにも記載しましたが、水いぼは健常な方であれば自然に治る皮膚病です。
そのため多くの方は半年〜1年半程度で改善します。
つまり、自然治癒まで待てる方は水いぼは取らなくても良いと言えます。
それでは私の息子の例を挙げます。
私の息子は乾燥肌で、水いぼが多発しております。
特にプールに通っているわけでもなく、水いぼは露出部分にはないのでそのままにしていました。
1年ほど放置しておいたら少しずつ湿疹反応を起こしたり、膿がでてくるようになりました。
少し画像が悪いのが悔やまれるのですが、お分かりいただけますでしょうか。
水いぼがニキビのように腫れて、1週間ほどで色素沈着になり治っています。
このように治ってくる時に腫れたり赤くなることを“BOTE (begin of the end) 徴候”といいます。
まさに、この写真の通りです。
水いぼ周囲が湿疹のようになることもありますが、これもBOTE徴候の1つです。
水いぼの予防法と治療法
水いぼは皮膚の状態が悪いと広がっていきます。
そのため、保湿をおこなって皮膚の状態を良くし、湿疹などが起きづらくすることで感染を防げます。
うちの息子は乾燥肌なので保湿剤をいつも塗っていましたが、それでも水いぼは広がりました。
治療方法として、ピンセットでつまみ取る、液体窒素で直接凍結させる、外用剤 (硝酸銀ペースト、トリクロロ酢酸など) があります。
ただし、外用剤を使用する皮膚科は少ないように思います。
最もポピュラーで確実な治療法がピンセットでつまみ取る方法です。
これはかなり痛いため、キシロカインテープで局所麻酔をしておくこともあります。
大きいものだけ取って、これ以上増えないようにするといった対応をすることも多いです。
水いぼは自然治癒が望める疾患ですが、状況によっては取り除くことも検討するという記事でした。
水いぼをとるかどうか迷っている方、参考になったら幸いです。
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