治らない乳児のおむつかぶれに考えること

おむつかぶれ (おむつ皮膚炎) は多くの乳児で起こります。

最近はおむつも改良されてきているので、子供にあったおむつを選ぶことでおむつかぶれも少なくなることが期待できます。

しかし、それでも改善しない場合は皮膚科に受診すると良いでしょう。

おむつかぶれに適した外用剤を処方してくれると思います。

おむつかぶれで、鑑別に挙がるのがカンジダ症腸性肢端皮膚炎という疾患です。

腸性肢端皮膚炎は有名ですが、まだ見かけたことがないです。

しかし、最近になってかなり難治な患者さんを見る機会があり、いろいろ調べてみると陰部の血管奇形であることがわかりました。

その病名は、PELVIS症候群またはLUMBAR症候群というのだそうです。

陰部から肛門周囲の乳児血管腫と、尿路、脊椎、肛門および直腸の先天奇形を伴う疾患として、2006年にPELVIS症候群という名称で報告されました。

PELVIS症候群は、頭文字をとって名称づけられています。

P:Perineal hemangioma (会陰部の血管腫)

E:External genitalia malformations (外生殖器の奇形)

L:Lipomyelomeningocele (脂肪脊髄髄膜瘤)

V:Vesicorenal abnormalities(腎尿路奇形)

I:Imperforate anus(鎖肛)

S:Skin tag

2010年には、Iacovasらが腰部から下肢の先天奇形を含めてLUMBAR症候群の呼称で報告しています。

LUMBAR症候群も、頭文字を取って名称づけられています。

L:Lower body hemangioma and other cutaneous defects

U:Urogenital anomalies, Ulceration

M:Myelopathy

B:Bony deformities

A:Anorectal malformations(直腸肛門奇形), Arterial anomalies

R:Renal anomalies

難治なおむつかぶれでしたが、この疾患の存在に気づき、βブロッカーが有効ではないかとのことになりました。

難治なおむつかぶれにはぜひ鑑別に挙げたいなと思いました。

参考文献

血管腫・血管奇形・リンパ管奇形 診療ガイドライン2017

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