白斑の最新治療である自家培養表皮が、2022年4月に製造販売承認申請が行われました。
愛知県の会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)がこの自家培養表皮を作成しており、平成29年から名古屋市立大学病院と共同で尋常性白斑や難治性皮膚潰瘍の臨床研究していました。
2023年度の上市を目指しているとのことです。
安定期の白斑に対してのみ適応となる予定ですが、患者さんにとってはとても良いニュースだと思います。
現在、白斑の治療で皮膚を移植する方法はいくつか行われています。
主な移植方法として、
(1) 分層植皮術、(2) 1mmミニグラフト、(3) 培養技術を用いないメラノサイト含有表皮移植
があります。
(1) 分層植皮術は、他の正常な部位の皮膚をスライサーで薄く剥がし、この皮膚を白斑部分に移植します。
そのため剥がした部分は白斑と同じ大きさの傷になり、移植する部分と皮膚の色合いと質感が異なることがあります。
(2) 1mmミニグラフトは、正常な部位の皮膚から1mmずつ皮膚を採取し、白斑部分にスタンプ状に埋め込む方法です。
埋め込んだ場所に少しずつ色が広がっていくことを期待して施術します。
(3) 培養技術を用いないメラノサイト含有表皮移植は、正常な部位の皮膚を吸引して無理やり水疱(水ぶくれ)をつくり、この水疱の表皮を白斑部分に移植するというものです。
水疱を作った皮膚は色素沈着程度を残して治りますが、移植した白斑部の色素は安定しません。
以上の移植方法が現在も行われておりますが、正常部位に大きめの傷が残る、移植した皮膚の色調が異なる、移植部位と正常部位の境目が目立つなど、まだ整容的な問題点はあります。
今回、製造販売承認申請が行われた自家培養表皮移植は、正常な皮膚を少量採取し培養して増やすため、大きな傷にはなりません。
そして、一度に広範囲の治療を行うことができます。
現在、自家培養表皮移植は限られた施設でのみ自費で治療を行っています。
今後保険採用となった場合には、多くの患者さんが恩恵を受けることができそうです。
これからの新しい治療として、細胞シグナルを制御する薬、サイトカインを抑える薬などが治療につながる可能性がでてきています。
まだまだ不明な点も多いですが、白斑は着実に治療できる疾患になりつつあると考えています。
すぐにでも色をつけたいという方は、カバーメイクの記事が参考になると思います。
特に露出部分に白斑がある方は、検討してもいいかもしれません。
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