サウナが好きです。
スーパー銭湯も好きで、気分転換によく行きます。
しかし、やはり気になるのは足拭きマットだったり、サウナの座るところに置いてあるタオル…
レジオネラが検出されて肺炎が起こったなんてことも報道されています。
いいこと尽くしとまでは言えませんが、気をつけていれば健康に楽しめる銭湯やサウナ。
この記事では銭湯やサウナに関係してくる皮膚疾患について解説していきます。
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水虫(白癬菌)
日本皮膚科学会のホームページに書いてあるように、銭湯やサウナなどの浴場の足拭きマットにはほぼ100%白癬菌がいます。
足拭きマットを使用した場合は水虫が感染しやすいため、きれいに水気を拭き取り、足を乾かしてから靴や靴下を履くと良いでしょう。
できれば再度洗ってもらうと水虫が感染する可能性は下がります。
家に帰ったら水虫の薬を足に塗るというのも、水虫にならないための工夫として良いと思います。
それでは、サウナに置いてあるタオルはどうでしょうか。
100度程度の気温があるため、白癬菌などの微生物は生き残れるのでしょうか。
残念ながら、サウナに置いてあるタオルの菌について調べられた論文は自分では見つけられませんでした。
しかし、参考になりそうなものとしては、2013年に報告された論文では足白癬の人の靴下について調べられていました。
足白癬 (足の水虫) の人が履いていた靴下を40℃または60℃の洗濯水で洗浄させ、乾かせるとその靴下はどうなるかという論文です (サンプル数は81足)。
40℃の洗濯水で洗浄された靴下は、29足 (36%) で真菌培養が陽性でした。
一方で、60℃の洗濯水で洗浄された靴下は、5足 (6%) で真菌培養が陽性となりました。
ということで、高温になると真菌も殺菌される傾向があるようです。
以上よりサウナのようなとても高温な環境では、タオルにいる真菌は生きのびられない…とはまだ言い切れません。
やはり高温下のサウナで実際に菌の採取をしてみないことには、決定的なことはいえません。
希望としてはお尻に直接触れる敷きっぱなしのタオルには、真菌はいないでほしい!!
どちらにせよ、サウナのマットやタオルの使用後は触れた部分を洗っておくことに越したことはないと思います。
また、サウナや銭湯に行った後は水虫の薬を予防的に塗ることも推奨されています。
よく皮膚科で処方されるラミシールを紹介します。
お風呂上がりに足やお尻などに塗ると良いでしょう。
とびひ (黄色ブドウ球菌)
黄色ブドウ球菌は伝染性膿痂疹 (とびひ) の原因になることがあります。
ただ、健康な人の皮膚に普通に存在する菌の1種でもあります。
そのため健常な皮膚であれば問題にはならないのですが、皮膚にいる菌のバランスが崩れたり、傷口に黄色ブドウ球菌が多く存在するととびひの原因になります。
銭湯では足拭きマットであったり、浴槽でも検出されるようです。
しかし、シャワーや石鹸で洗い流せば特に問題はないと思います。
尋常性疣贅 (ヒトパピローマウイルス)
尋常性疣贅というのは、いわゆるイボです。
小さい頃、足の裏や手にイボができたりしませんでしたか?
イボの原因として、ヒトパピローマウイルスというウイルスが挙げられます。
これも大衆浴場、プール、ジムなどで感染することがあるようです。
このイボの原因となるヒトパピローマウイルスは、粘膜ではなく皮膚を好んで感染します。
ただ、健常な皮膚であれば感染することはないのですが、傷があったり、バリア機能が弱い方は感染しやすいと言われています。
一方で、尖圭コンジローマや子宮頸がんの原因になるヒトパピローマウイルスは粘膜を好んで感染します。
通常はこの粘膜型のヒトパピローマウイルスは銭湯やサウナではうつりません。
ただし、直前まで病変のある方が座っていた椅子やマットの上に座り、肛門や性器部分の粘膜に傷がある場合にはうつるかもしれません。
梅毒の場合も同じことが言えますが、奇跡的な確率のためなかなか起こり得ないでしょう。
基本的には接触部位を洗い流すことで、感染する確率はかなり減らすことができると思います。
非結核性抗酸菌症 (特にMycobacterium avium)
非結核性抗酸菌症は少し特殊な菌で、あの有名な結核菌とは異なります。
非結核性抗酸菌は種類があり、銭湯やサウナで問題になるのはMycobacterium avium (以下M. avium)という種類です。
24時間風呂は浴水を浄化しながら循環させ、1ヶ月に1度浴水を交換するシステムです。
浄化はしていますが、非結核性抗酸菌症はバイオフィルムを形成し生存することができ、特にM. aviumが問題になります。
このM. aviumは肺に感染することもありますが、皮膚にも感染し膿瘍を作ります。
免疫機能の低下した方が感染しやすく、健常な方は感染したところはあまり見たことがありません。
治療に難渋することもあるので、病院で何らかの治療をされている方は銭湯に行くことはやめましょう。
温熱じんましん、寒冷じんましん
走ったり、お風呂に入ったりして温まってくるとじんましんが出てくる方いませんか?
これを温熱じんましんといいます。
実は私も温熱じんましんを持っていて、サウナに入ると少しずつ体が赤くかゆくなってきます。
日常生活で困ることはないのですが、サウナに長時間入れないのは少しさみしいです。
逆に、体が冷えるとじんましんが出てくる寒冷じんましんという種類もあります。
こちらは水風呂に入る際に問題になります。
水風呂で一気に冷やすと寒冷じんましんが出やすく、アナフィラキシーショックになった症例も報告されています。
じんましんはヒスタミンが関係しているので、血圧が下がることがあるんです
寒冷じんましんを持つ方は、冷たすぎない水風呂にするか、少しずつ冷やしながら水風呂に入るといった工夫が必要でしょう。
最後に
いろいろ調べてみると、皮膚の調子が悪い方、傷がある方は銭湯やサウナはやめておいた方が無難だと思いました。
また他人が使ったところは洗浄するか、タオルなどで直接触れないようにするのも大切ですね。
皮膚とは関係ないのですが、私はサウナ→水風呂をすると頭がクラクラして眼振 (目がゆらゆらする) が起こります。
これは耳鼻科の検査でいうカロリックテストと同じことかなと思って楽しんでますが、やりすぎは良くないかもしれません。
リスクを知って適切に銭湯やサウナを楽しみたいですね。
参考文献
スーパー銭湯で浴槽の湯から“基準値25倍のレジオネラ属菌” 利用客が肺炎等で入院 2日間の営業停止処分
The effect of domestic laundry processes on fungal contamination of socks, Int J Dermatol 2013 Nov;52(11):1392-4
銭湯浴槽水の抗酸菌汚染と浴槽環境, 環境感染 2001 Vol16 No4
Communal showers and the risk of plantar warts, J Fam Pract, 1995; 40: 136―138
尋常性疣贅診療ガイドライン2019年版
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