認めたくないのですが、数年前私は花粉症になりました。
多くの研究で幼少期に牧場や農家で育つと、アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症になりにくいということが示されております。
この幼少期に農家で育つとアレルギー体質になりにくいという事実・仮説を、Farm EffectやHygiene Hypothesis (衛生仮説) と呼称します。
ずっと牧場で育っている私は、この仮説を信じて絶対に花粉症にならないという自信がありました。
そう。免疫だけはエリートだと思っていたのです。
しかし、実際はエリートとはほど遠く、毎年春になると花粉症に苦しみます。
もうほんとやだ…
ん、でも待てよ。
衛生的に汚れているところにいると、アトピー性皮膚炎や喘息は悪くなる方が多いような…
こんな疑問を持つ方は、私だけではないはず。
そこで、ここでは農家の汚れではアレルギー体質が改善するのに、他の汚れでは悪化するという疑問についてお答えします。
いろいろ調べていくとこの衛生仮説の決定的な理由はなさそうですが、多くの要因が関わっていることがわかりました。
- 幼少期に農場にいることで多くの微生物と出会うことになり、これが免疫系の発達を促す。
- これら微生物が腸内細菌叢を変化させる。
- 農家にある汚れ (LPS:エンドトキシン) の暴露が、アレルギー体質になりにくくする。
などなど、微生物と免疫に関する報告が多いようです。
しかし、勘違いしてはいけないのは、手を洗わない方がよい、部屋を掃除しない方がよいということではありません。
ハウスダストや部屋のカビなどは、アトピー性皮膚炎や喘息などを悪化させる要因になります。
また、生の鶏肉を触ったら、必ず手を洗った方が良いです。
しかし、土を触った手なら多少は洗わなくても、個人的には免疫に良い刺激になるような気もします。
ということで、汚れといっても様々な微生物や化学物質から成り立っているため、多少汚れていた方がアレルギー体質には良いというのは、かなり怪しい文言です。
この微生物が多い汚れの場合は免疫によい影響を与える可能性がある。
しかし、この微生物やある化学物質が多い汚れの場合は悪化させる可能性がある。
という理解が今のところよいのではないでしょうか。
参考文献
The “Hygiene Hypothesis” and the Lessons Learnt From Farm Studies. Front. Immunol., 18 March 2021 | https://doi.org/10.3389/fimmu.2021.635522
Patterns of farm exposure are associated with reduced incidence of atopic dermatitis in early life. J Allergy Clin Immunol. 2020 Dec;146(6):1379-1386.e6. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32650021/
News Feature: Cleaning up the hygiene hypothesis. PNAS February 14, 2017 114 (7) 1433-1436; https://doi.org/10.1073/pnas.1700688114
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