皮膚掻痒症に用いられる主な漢方薬【2020年ガイドライン】

皮膚がかゆくて仕方ないという方は多くいらっしゃいます。

なかなか薬が効かないことも多く、漢方薬を試してみることもあります。

しかし、皮膚掻痒症ガイドラインに漢方薬について書かれてはいますが、どのような方にどの漢方薬を使えばいいのかは書いてありません。

この記事では、皮膚がかゆくなる症状 (皮膚掻痒症) を抑える漢方薬について、どのような方が合っているかについてまとめました。

皮膚掻痒症ガイドライン2020に記載されている漢方薬は

温清飲*、黄連解毒湯、牛舎腎気丸、当帰飲子、八味地黄丸*、六味丸

です。

*は皮膚掻痒症の保険適用はありませんのでご注意ください。

※本ページはプロモーションが含まれています。

目次

温清飲 (うんせいいん)

温清飲は、黄連解毒湯と四物湯の合方です。

体内のこもった熱を冷ます黄連解毒湯、血を補う四物湯を合わせているので、皮膚症状だけではなく、更年期障害や生理周期に伴う精神的な症状も改善します。

以下、ツムラ、小太郎漢方製薬株式会社より引用です。

体力中等度で、皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの次の諸症:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎

ツムラ漢方温清飲エキス顆粒 効能・効果 (https://www.tsumurakampo.jp/product/057/) より

肌の色ツヤが悪く、手足の裏がほてるタイプの湿疹、生理不順、神経症などに用いる。

小太郎漢方製薬株式会社 漢方処方解説 (https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/unsein-exp.html)より

黄連解毒湯 (おうれんげどくとう)

黄連解毒湯は、からだの熱が多い方に使われます。

顔がのぼせて赤い方、足は冷えてない方がいい適応になります。

以下、ツムラ、小太郎漢方製薬株式会社より引用です。

体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎

ツムラ漢方温清飲エキス顆粒 効能・効果 (https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/003/index_s.html) より

赤ら顔、のぼせ、ときに鼻血などの出血傾向があり、精神不安、不眠、イライラなどの精神神経症状や胃部のつかえ、皮膚のカユミが強い場合に用いられる。

小太郎漢方製薬株式会社 漢方処方解説 (https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/orengedoku-exp.html) より

牛舎腎気丸 (ごしゃじんきがん)

牛車腎気丸は、八味地黄丸に”牛膝”と”車前子”という生薬を加えた漢方薬になります。

体力が低下し、疲れやすく、足が冷えやすい方のかゆみに使われます。

どちらかというとかゆみに使われるというより、高齢者の頻尿や、神経障害によりしびれなどに使用されることが多いようです。

下半身の症状(排尿異常・むくみ・痛み)、老化症状などを目標に、糖尿病性神経障害、前立腺肥大症、多発性神経炎、骨粗鬆症、腎炎(扁桃炎後や産後に出やすい)、老人性白内障、シェーグレン症候群、ED(勃起障害)などに応用されている。

小太郎漢方製薬株式会社 漢方処方解説 (https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/gosya-exp.html)より

当帰飲子 (とうきいんし)

当帰飲子は、皮膚の乾燥によるかゆみに用いられる漢方薬です。

高齢者のかゆみに使われる代表的な漢方薬といえるでしょう。

あまり体力のない、冷え性の傾向がある方で、乾燥した肌のかゆみを改善させます。

皮膚が乾燥してかゆみの強い皮膚病に用いる処方である。皮膚がカサカサする。あるいは肥厚してカサブタができる。そのカサブタもボロボロ落ちる。乾燥のため、亀裂が生じることもある。高齢者に多い皮膚瘙痒症にも応用される。

小太郎漢方製薬株式会社 漢方処方解説 (https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/toki-exp.html) より

これは多くの高齢者が当てはまりそうです。

八味地黄丸 (はちみじおうがん)

八味地黄丸も、かゆみというより、頻尿や排尿困難に用いられる印象があります。

腎の働きが低下した”腎虚”の症状を改善するための漢方薬になります。

ツムラのホームページではかゆみも含まれているようですが、医療用の添付文書にはかゆみの記載はありませんのでご注意ください。

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

ツムラ漢方八味地黄丸エキス顆粒 効能・効果 (https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/038/index_s.html) より

六味丸 (ろくみがん)

六味丸は、八味地黄丸から桂皮と附子を抜いた漢方薬です。

小太郎によると、六味丸は腎陰虚証 (腎を冷やす物質の不足) に用い、八味地黄丸は腎陽虚証 (腎を温めるエネルギーの不足) に用いられるとのことです。

よもぎ

これは使い分けるのはちょっと難しい…

こちらもかゆみというより、他の用途に使われそうです。

下肢が疲れやすく、疲れると手足がほてり、口が渇くものに使う。このような方ののぼせ、目の充血、寝汗、腰痛にも。また、小児の発育障害にも応用される。

小太郎漢方製薬株式会社 漢方処方解説 (https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/rokumigan-exp.html) より

体力はあまりなく、疲れやすく、尿量が減ったりあるいは増えたりし、ときに手足がほてり、口が渇いたりする人の、排尿困難や残尿感、頻尿、むくみ、かゆみ、しびれ、夜尿症などに用いられます。

ツムラ 六味丸 漢方処方解説 (https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/087.html) より

最後に

ツムラの医療用漢方薬の”効能又は効果“を調べてみました。

かゆみ:六味丸、牛車腎気丸、当帰飲子

皮膚掻痒症:黄連解毒湯

湿疹・皮膚炎:温清飲、黄連解毒湯

慢性湿疹 (分泌物の少ないもの)当帰飲子

(八味地黄丸にはかゆみや湿疹などの記載なし)

よもぎ

皮膚掻痒症の記載があるのは、黄連解毒湯だけだったんですね!

個人的には当帰飲子が使えそうと思ったのですが、病院で採用されてないことが多いんですよね (泣)。

他の漢方薬もかゆみに使えるものがあるようですので、ぜひ教えてください!

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