円形脱毛症や抗がん剤治療などで、髪の毛が抜けてしまう方がいらっしゃいます。
日に日に髪の毛を失う恐怖や不安感は、経験した方にしかわからない非常につらいものです。
小さなお子さんがいる方では、自分のせいで周囲の子からいじめられるのではないかと心配される方もいらっしゃいます。
我々皮膚科医は円形脱毛症の患者さんを診察させていただくことがありますが、男女関係なく不安感を持たれる方が多いように感じます。
医療者としてはその不安感を解消したいと思うのですが、患者さんに過剰に期待させるわけにもいきません。
円形脱毛症の治療で、全ての方が改善するわけではないからです。
円形脱毛症のガイドライン (2017年版) によると、特に病気を持ってない方で、小さな脱毛班であれば80%程度の方が1年以内に回復すると報告されています。
しかし、20%程度の方は髪の毛が全て抜けてしまう全頭型だったり、髪の毛だけでなく眉毛や体毛も抜けてしまう汎発型に進行することがあります。
この全頭型や汎発型になると、回復する方は10%以下と考えられています。
こうしたデータを鑑みると、治療効果が乏しい方、治療途中の方なども、ウィッグは日常生活をよりよくする選択肢になると思います。
実は、恥ずかしながら多くの皮膚科医はウィッグについてよくわかっていません。
どのウィッグを選ぶかは患者さんにすべてお任せしてしまっています。
しかし、どこの会社を選べばいいのか、値段はいくらなのかなど、患者さんもわからないことが多いかと思います。
できるだけ患者さんに寄り添えるよう、自身の勉強もかねてこのブログを記載します。
※本ページはプロモーションが含まれています。
スヴェンソン
医療用ウィッグだけでなく、ファッションウィッグ、男性型脱毛やスカルプケアでも多くの製品を出しているスヴェンソンさんです。
病院によっては相談会を開催しているかもしれません。
小さな円形脱毛を隠すスポットヘア、小児用のウィッグも提供しています。
値段はプランやウィッグによって様々ですが、3〜4万円程度からあるようです。
また、本人の希望通りのウィッグを作るフルオーダー (40万円前後)、既成のウィッグを本人合わせるようにカットするセミオーダー (20万円前後) もあります。
現在は月々13200円 (初期費用77000円) の定額プランで、ウィッグが必要がなくなったらいつでもやめられるサービスなどもあります。
サロンも全国にあり、サポート体制が充実しております。
アプラン 東京義髪整形
アプランさんも医療用ウィッグを提供しており、全国展開している会社です。
ウィッグの値段としては5万円程度からあり、2泊3日からのレンタルサービスも行っています。
また、”ウィッグな帽子“という気軽に使えるウィッグも提供しています。
国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターと共同で開発された製品です。
毎日がラクチン、毎日が楽しい、毎日が自分らしいをテーマに、多くの患者さんの協力のもと、2014年から発売されております。
WIG YUKI ユキ
WIG YUKIさんはファッションウィッグだけでなく、医療用ウィッグも提供しています。
主な商品としては女性の髪型を彩るためのウィッグが多いのですが、医療用ウィッグについてはカウンセリングを行なっているようです。
医療用ウィッグの値段については、人によって異なるためか公表されておりません。
FUKURIBI WIG
NPO法人 全国福祉理美容師養成協会 (ふくりび)さんはセミオーダー医療用ウィッグ (66000円)を提供しております。
イメージガールとして、元SKEの矢方美紀さんを起用しています。
全国にパートナーサロンがあり、ウィッグを患者さんに合わせてカットし提供しています。
セミオーダーでこの価格はかなり安いと思ったのですが、NPO法人だからできるのでしょうか。
以前はスマホからしかホームページは見られませんでしたが、現在はパソコンからでも見ることができます。
アートネイチャー ANCS
頭髪業界ではとても有名なアートネイチャーさんですが、医療用ウィッグも提供しています。
病院内に店舗があるところもあります。
ウィッグの髪の長さにもよりますが、医療割引で4万円前後から製品があります。
店舗も全国展開されているアートネイチャーさんですので、ほぼすべての都道府県でサロンがあります。
自宅に届く、無料試着ウィッグ【ライツフォル】
ご自宅でゆっくりウィッグを試せる無料試着サービスを行っているライツフォル(REIZVOLL)さんです。
「治療中なので外出が難しい」
「近くに医療用ウィッグ専門店がない」
といった方のために、往復送料無料、試着料不要のサービスを提供してくれています。
人毛100%では使っているうちに退色しやすく、スタイルが崩れることがあります。
ライツフォルさんのウィッグは人毛と人工毛を独自のバランスで配合したミックス毛を採用しており、優れたスタイルキープ力を備えながら、自然な髪の質感を再現しております。
脱毛している頭皮はとてもデリケートですが、このウィッグには通気性の良い2重ネットを採用し、ムレにくく、優しい肌触りとなっています。
また、脱毛部位の大きさに合わせたかつらシートも提供しており、比較的小さな円形脱毛や、頭部の傷などで髪の毛が生えてこない方におすすめできます。
他社の製品の多くは1週間程度で使い捨てるシートですが、ライツフォルさんのかつらシートは装着が繰り返し使用できるため、とても経済的となっています。
最後に
まだまだ医療ウィッグを提供する企業があるかと思いますが、有名なところを紹介いたしました。
ウィッグを作る際の参考になったら幸いです。
自治体によってはウィッグ購入費用を助成してくれるところもありますので、ぜひ調べてみてください。
また、円形脱毛症の患者会 (https://www.hidorigamo.com/)というのもあります。
相談できる相手が医師だけというのも少し寂しいところがありますので、患者会に入ることもいいかもしれません。
少しずつ円形脱毛症の新しい治療薬が開発されています。
円形脱毛症が起こる原因はまだ未解明なところがありますが、学会に出てみると希望が持てる内容も多くあります。
この数年で治療の選択肢が増えていくでしょう。
まだ大きな期待はできませんが、確実に治る疾患になったらいいなと心から思います。
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